目次 > 第1回ワークショップを開催しました。

 

 

■概 要


日時 平成24年11月22日(木)
場所 TKPガーデンシティー札幌きょうさいサロン
参加 17名(会員:13名、非会員:4名)
テーマ 「北海道を知ること」 目的:北海道スタンダード研究会で実施されたアンケートの結果を踏まえ、良いところも悪いところも含めて、北海道とは一体どういうところか、理解を深める
講師 五十嵐智嘉子氏
((社)北海道総合研究調査会理事長)
 
 

■ワークショップの内容


ワークショップを行った理由は、他人が行った分析は腑に落ちにくいが、自分が行った分析は腑に落ちやすいからです。

第1回ワークショップの到達点は、自分で発言し自分で記述し、それを参加者でまとめるところまでを目標としました。

まずは、グループのメンバーをよく知ることから始めます(互いに何を言ってもよい関係を築く)。

協働作業の中での発言は、批判しない、外に漏らさないという信頼関係が必要なため、いくつかのルールを設けました(KJ法とファシリテーションのミックス)。


準備した道具

 

 
 

■実際のワークショップの流れ


[グループ分け]

・集まったメンバーが1グループ6人に分かれて3つのチームをつくり、グループごとにテーブルに座りました。

[テーマの設定]

・各グループのテーマを決めました。テーマは、「産業・技術」、「食・観光」、「くらし・まち・交通」の3つ。

[アイスブレイク]

・最初に、グループ内で初対面同士が打ち解けられるように、アイスブレイクとして、ゲームを行いました。

・お題を「北海道」として、この言葉から連想するキーワードやイメージを30秒以内で10個、用意した紙に書き連ね、グループ内でどれだけの人が共通の言葉を書いたかを競うゲームです。

・これがまた、意外と合いそうで合わない。
「北海道」という一つのキーワードから、信じられないくらい多くの言葉が飛び出しました。
「北海道」という言葉から連想するものが、人によってこんなにも違うものなのか、私自身も認識を新たにしました。

・グループ内が打ち解けたところで、作業に入りました。

[ワークショップ]

・まず、最初は各テーブルに割り当てられたテーマから連想される「こと」、「もの」、「イメージ」を用意した付箋紙に1枚に1つずつどんどん書き出します。一瞬、書けなくなったり、どうやって表現したらよいか迷ったりしながら・・・

・時間が来たら、それらをグループ内で順番に、一人ずつ解説を付けながら模造紙に張り出していきます。この時、同じ内容の付箋紙は重ねていきます。

・次に、各グループで、この付箋紙をグループ化していきます。
グループ化するにあたって、必要であれば意見を追加していきます。

・こうしてグルーピングした付箋紙にストーリーを付けていきます。

[発表]

・グループとしてまとめたストーリーを代表者が発表し、会場からご質問やご意見を頂きました。


「北海道といえば」の書き出し例

 


ワークショップ進行中!

 


発表中の様子

 
 

■テーマ「観光・食」のまとめ(概要)


1.北海道の観光の特徴として、観光地が豊富でウインタースポーツや温泉などある程度の観光メニューは用意されている。

2.しかし画一的で工夫が足りないし、サービスも悪い面もある。

3.観光地間の距離が遠いのに交通の便が今ひとつ。

4.食の素材は豊富だが、その良さにあぐらをかいているのではないか。

5.ブランド力はそこそこあって、海外でも道産食材の評価は高い。

6.しかし、流通面や加工技術の不足といった課題も多い。

7.こうした食や観光の課題を解決するために、観光面では、交通ネットワークの充実、魅力ある観光メニューの提案、道内各観光地の地域性(個性)を活かした差別化を推進などが必要。

8.食の面では、6次産業化、食の加工技術の開発、食産業立国の推進など、それらの観光や食の課題解決策にむけて柔軟に連携することが必要。


「観光・食」のまとめ

 
 

■テーマ「くらし、まち、交通」のまとめ(概要)


1.北海道の冬は寒くつらい。でも部屋の中は暖かいしウインタースポーツは楽しい。

2.さらに土地が安く自然豊かなため外国人が集まるところもある。

3.いっぽう、甘納豆の赤飯など特徴ある食べ物や美味な食べ物が豊富。

4.これは漁業や農業に活気があるためであり、さらなる農商工の連携が必要だ。

5.しかし高齢と過疎が進むうえ、低所得化による若者離れが進行。札幌ドームはすごいのに、祭りが流行らない。

6.交通に関しては、道路が広く走りやすいためスピードの出し過ぎには注意が必要であるが、便利な車社会になっている。

7.今後は新幹線が来るので各都市からの便が良くなりチャンスである。

8.コンパクトシティ化や高齢者の知恵活用がキーワードであり、行政等にスピードが必要ではないだろうか。


「くらし・まち・交通」のまとめ

 
 

■テーマ「産業・技術」のまとめ(概要)


1.北海道の先端技術にはロケットの宇宙産業やソフトウェア産業がある。

2.一次産業も北海道ブランドとして漁業や稲作、馬産地があり、全国区となっている。

3.それに対し、二次産業は地方ワインや酒やラーメン等の飲食業があるものの、まだポテンシャルを生かせていないと思われる。

4.寒さ・自然というポテンシャルを生かし、暖房や断熱などの克寒技術の研究や雪祭りなどの観光・ブランドを活用すべきである。

5.そのためには、サービス精神を向上させるような教育によって、伝統と歴史を強固にすることが、飛躍へのヒントとなる

「産業・技術」のまとめ

 
 

■ワークショップで得たもの


・人によって思いが違う。みんな違ってみんな良い。同じ意見は共感を深め、違う意見は発想の幅を広げる。

・ひとりで考えることの限界、多くの人との協働で考えることの楽しさを発見。

・みんなの意見や考え、そして議論によって、短時間でとてもまとまりのある結論が導くことができた。
開催のご案内をした際には、会員の方から「みんなと会話のレベルが合わないのでは」といった、不安の声も寄せられましたが、結果的に「わかりやすくて、おもしろかった」とのご感想を多数いただきました。

※ ワールドカフェとは
「知識や知恵は、人々がオープンに会話を行い、自由にネットワークを築くことのできる『カフェ』のような空間でこそ創発される」という考え方に基づいた話し合いの手法です。小グループを組み替えながら行う何回かのダイアログを通じて、参加者同士の知識の共有とつながりを醸成し、集合知を生み出します。

※ ワークショップとは
参加者が自ら参加・体験し、グループの相互作用の中で何かを学び創造する、双方向的な学びと創造のスタイルで、ファシリテーターが、参加者が自発的に作業をする環境を整え、参加者全員が体験するもの。

※ KJ法とは
フィールドワークで多くのデータを集めた後、あるいはブレインストーミングにより様々なアイディア出しを行った後の段階で、それらの雑多なデータやアイディアをカード等に統合・グループ化し、新たな発想を生み出すために用いられる効果的な方法。

◆あしあと
第1回勉強会 平成23年6月27日(月)
講師:井上美香(鷲田研究所)

第2回勉強会 平成24年1月27日(金)
講師:五十嵐智嘉子(北海道総合研究調査会)
講師:久須美英男(久須美英男プランニング事務所)

第3回勉強会 平成24年5月25日(金)
講師:熊谷勝弘(伊藤組土建)

第4回勉強会 平成24年7月11日(水)
講師:山口二郎(北大 大学院法学研究科)

第1回ワークショップ 平成24年11月22日(木)
講師:五十嵐智嘉子(北海道総合研究調査会)


    研究会の検討フレーム

 
 

■おわりに


北海道スタンダード研究会では、技術士会の会員以外の方々も交えながら、北海道が取り組むべき課題や魅力・価値などをしっかりと理解し、そこから北海道のオリジナリティや未来に残すべきものを講演会やワークショップの開催を重ねながらみなさんとともに探求していきたいと思っています。今後とも引き続き勉強会へのご参加・ご支援の程よろしくお願いします。

 

米川 康(よねかわ こう)

技術士(応用理学/総合技術監理部門)

スタンダード研究会 広報担当

明治コンサルタント株式会社