目次 > 第2回ワークショップ ワークショップで「北海道の価値」について考えました。

 

 

■概 要


日時 平成25年9月2日(月)
場所 TKPガーデンシティー札幌きょうさいサロン
参加 17名(会員:13名、非会員:4名)

 

 
 

■AI的手法を用いたワークショップ


一昨年に実施した第1回のワークショップ(平成 24 年11 月22 日)では、「北海道を知る」というテー マのもと、「産業・技術」、「食・観光」、「くらし・ま ち・交通」の3分野について、北海道が有する特性や課題、そして今後のあり方などについてディス カッションしました。これはいわゆるフォワードキャスト(Forward Cast)型の思考方法で、より現 実的な北海道の価値を見出し、提案することが期待されるものの、一方で「ありがちな価値」に到達することも懸念されます。

これと真逆のアプローチとして、未来を起点とするバックキャスト(Back Cast)型の思考方法があります。これは最初に「なりたい北海道」「つくりたい 北海道」の姿を描き、その姿に到達するための道筋を検討するアプローチで、「新しい価値の発見・創出」などが期待できます。

このような狙いのもと、第2回ワークショップは テーマを「北海道の価値」として、ポジティブアプ ローチと言われるAI的な手法により、価値の構造をつくりあげることを試行しました。

 


グループ毎の発表の様子

※ Appreciative Inquiry(AI):

問いかけや探求 (lnquiry)によって、個人の価値や強み、組織全体の真価を発見し認め(Appreciative)、それらの価値の可能性を最大限に活かした、最も効果的で能力を高く発揮する仕組みを生み出すプロセス。
(『組織開発 ハンドブック』(株式会社ピープルフォーカス・コンサルティング)より)

 
 

■第2回 ワークショップの流れ


今回のワークショップの流れを以下に示します。

[グループ分け]

・集まったメンバーが1グループ5~6人に分かれて3つのチームをつくり、グループごとにテーブルに座りました。

[ワークショップ]

・「北海道の価値」として連想する「こと」、「もの」、「イメージ」を用意した付箋紙に1枚に1つずつどんどん書き出します。

・時間が来たら、それらをグループ内で順番に、一人ずつ解説を付けながら模造紙に張り出していきます。

・次にこの付箋紙をグループ化し、必要であれば意見を追加し、ストーリーを付けていきます。

[発表]

・グループとしてまとめたストーリーを代表者が発表し、会場からご質問やご意見を頂きました。

 

 
 

■各グループのまとめ


第1グループ:独自性と強みを活かしたグローバルな展開

これからの北海道にとって、地方都市の活性化や社会インフラの充実とともに、北海道を支える人材の育成が大切である。

また北海道の特性や強み(広いこと・自然が豊かなこと・寒いことなど)を活かすことが重要。

北海道の独自性を高めるためにはしっかりとした経済基盤が必要であり、例えば農業・漁業のブランド化や食材の活用などが考えられる。

北海道を外国人も含めた全ての人にやさしさ(ホスピタリティ)を提供し、北海道の魅力を高め、独自性を発揮して、北海道国として独立する位の目標を掲げることが大切である。

 

第2グループ:人材育成と北海道の特性を活かして自立する北海道

北海道の特性として、冬、企業、エネルギー、地理、観光、教育、食などが挙げられる。

特に教育は、食育、農業などの体験教育、自然教育など北海道の特性を活かした教育が展開できるので優位性が高い。

また北海道は、北海道大学という国内でも有数の教育機関を有しており、全国各地から優秀な学生が集まってくる。これらの人材が北海道で就職して定住すれば、相当なパワーになり得る。

北海道は広い土地があることや地震や津波の災害が少ないことなど、日本のバックアップ拠点として役割を担える。

これら北海道が有する特性を有機的に組み合わせることで、さらなる活性化を図ることができる。

 

第3グループ:北海道 独立国

“食”や“自然環境”といった北海道の独自性をしっかりと伸ばし、魅力・価値をさらに高める取組を進め、あらゆる面で自立・独立した北海道を目指すべき。

具体的には、素晴らしい人材を育成・輩出できる充実した教育システムの確立や、子どもの個性を活かした最適な教育の場づくりに注力するほか、有能な人材が戻ってこられる産業の育成や、若者がずっと居続けたいと思える魅力的な地域づくりにも力を入れるべき。

そのためには、恵まれた自然と上手に共生・共存し、食糧はもちろん、豊富な地下資源やエネルギー資源を無駄なく活かした新たな産業の創出とそれによる経済の活性化、自給自足型経済の確立、さらには大震災に備えたバックアップ拠点といった本道の優位性をアピールし、わが国における北海道の存在 価値を高めていくべき。

また、北海道独自でも、極東の玄関口として海外との拠点と連携するなど世界とのネットワークの構築を進め、“世界のハブ”と呼ばれるような国際戦略を進めることが重要である。

 

 
 

■ワークショップを終えて


今回のワークショップでは、共通テーマ「北海道 の価値」についてディスカッションを行いました。

各グループのまとめを俯瞰すると、次のような共 通性を導くことができました。

→北海道の優れた特性である、自然、食材、観光などで独自性を活かしていくことが重要である。

→北海道にとって何より大切なものは人材であり、今後は人材を育てることとのみならず、優秀な人材をいかに呼び込むかについても、戦略的に考える必要がある。

→これまでデメリットとして考えられていた積雪寒冷性や地勢要因などは、逆転の発想で考えるとあらたな強みとなり得る。

→これからの北海道を考えるにあたって、ネット ワーク化、ハブ化、バックアップ拠点などのコンセプトが大切である。

→北海道が独立国を目指すくらいの意気込みが必要である。

 

文責:北海道スタンダード研究委員会 副代表  正岡 久明