目 次 > 第5回勉強会を開催しました。

 

 

■第5回勉強会の概要


日時 平成25年1月25日(金)
場所 TKPガーデンシティー札幌きょうさいサロン
参加 37名(会員:20名、非会員:17名)
講演1 「交流から地域を再生する地域プラットフォームというスタイル」
講師 敷田麻実 様 (北海道大学教授)
講演2 「テレワークが北海道のビジネスを変える!生き方を変える!」
講師 田澤由利 様 ((株)ワイズスタッフ社長)
 
 

■講演1


敷田先生は石川県出身であり、石川県庁に在勤中に観光関係の仕事に携わって、退職後、北海道大学の教 授となられています。専門はエコツーリズムと地域マ ネジメントで、「交流から地域再生」「地域プラットフ ォーム」というキーワードでご講演をいただきました。

 

1.観光とは

観光とは、人の移動と観光資源がバランスを取りながら成り立ち、互いにプラスとなっていくものである。 また、観光の3条件は、

①1泊以上1年未満、

②楽しみを目的としたもの、

③居住地からの移動と帰還

と定義 されている。

 

2. 観光の課題

2-1.観光パターン1

地域資源や地域づくりと関係なく、旅行会社や企業等が中間となって、パンフレット等で地域外から集客し、観光を 振興させているものである。 この場合、地域資源との関係は薄く、観光客をたくさん受け入れることで、発生する利益の大多数は企業 のものとなり、地域には還元されない。

 

2-2.観光パターン2

観光案内のパンフレットをイメージすると、「風光明媚な所に行き」「美味しいものを食べる」「温泉に入って疲れ をとる」などのキーワードが浮かんでくる。ただ、数回訪れ、その「景色」や「味」がパターン化してしまうと、観光客の足は鈍くなってくる。 つまり、いつまでも変化の無い場所には人の足も遠のいてしまい、地域自体も元気が無くなってしまう。 結構、このようなパターンが各地方に多く、観光資 源がうまく活用されていない状況である。


木本室長による講演

 

3.新たな地域づくり

新たな地域づくりとして、これからの観光が成長するために何が重要かというと、それは「地域プラットフォーム」 という以下のモデルである。

 

1.ブランド力(他地域との差別化競争)
2.マーケティング(地域外とのパートナーシップ)
3.観光客の取り入れ(新たな「知」と「工夫」)
4.観光資源への「還元」と「再投資」

 

以上、敷田先生からのお話は、昔ながらのハード面の充実や大手企業による観光客の集客時代は終わり、常に観光資 源への再投資や工夫といった、「ひとてま」が重要であり、これらが観光資源の存続や地域の活性化につながるはずとしてご講演は締めくくられま した。


地域プラットフォームのモデル

 
 

■講演2


田澤社長は奈良県出身であり、上智大学を卒業後、 シャープに入社してパソコン技術、企画を行っていま した。シャープ退社後は、北見市に在住し、ホームペ ージ製作、メールマガジン編集などを行う会社、(株) ワイズスタッフを設立されています。 今回の演題にもある「テレワーク」を積極的に導入 した会社でもあり、「ネットで働ける社会」の実現に向 けた取り組みを行っています。

 

1.テレワーク

「テレワーク」は、聞き慣れないキーワードで、「電話で仕事をするのかな?」と思ってしまう方が多い。「テレ ワーク」の意味するところは、「テレ=離れた」、「ワーク=働く」ということであり、「ITを活用して、場所や時間にとらわれない柔軟な働き 方」である。 つまり、会社に在席しなくともITを活用することで仕事ができ、例えば地方に居ながら、時間にとらわれることなく、広く仕事を行えるということである。 この「テレワーク」は、平成22年度に発表された政府の方針であり、平成27年度までに在宅型テレワーカ ーを700万人にするという目標がある。 北海道においても「北海道型テレワーク普及推進事業」があり「北海道IT推進プラン」がある。

 

2.テレワークがもたらす効果

現代社会は、パソコンやインターネットが世界的普 及し、ビジネス形態が大きく変わった。 一方で、日本は少子高齢化時代であり、労働力不足や介護福祉、子育てに関する課題が山積みとなってお り、「長い時間をかけて会社に出社する」「子育てしな らが仕事をする」「残業をしないと終わらない」などといった忙しい時代である。 自宅や移動中にパソコンで作業を行うことで、無駄な時間を有効に活用しようというのが、この「テレワーク」であり、その効果は、「企業の生産性向上」「コ スト縮減」「ワークライフバランスの実現」などといったことに大きな効果がある。

 

3.テレワークの現状

我が国の企業におけるテレワーク導入状況は、平成23年度において、導入企業9.7%であり、まだまだ企業には 浸透していない。 以上、テレワークによって、効率的な業務処理が可能になりますが、「時間管理の方法」「社員の評価方法」「社員間の不平等さ」などといったことについて課題があるようであ り、これらを解決することで、企業へ導入率が今後高まるものと思われます。


田澤社長による講演

 
 

■おわりに


今回は、観光・ITにまつわる講演でした。北海道 には観光資源が豊富にあり、観光資源の維持を行うことで魅力のある地域となるものと感じました。また、広大な土地柄から、テレワークの普及は業務の効率化へつながり、企業 の成長につながるものと感じました。 今後も北海道スタンダード研究会は様々な勉強会を 開催していく予定です。皆さんの勉強会へのご参加をお待ち申し上げるとともに、今後とも引き続きご支援の程よろしくお願いします。

 

(文責:北海道スタンダード研究会  樋詰 透)